第232回 言葉をもたない子ども達

私は先日、石川教育研究所 代表 石川幸夫氏の文章を読みました。そこには、私が危惧している、現代の子ども達のある傾向が報告されていました。

それは、最近の子ども達には「言葉をもたない子が多い」ということです。氏は教育評論家として有名で、ご自身で塾も経営されています。そこで氏は、その塾生である小学校高学年から中学2年までの、約100人について、言葉の調査を行ったそうです。すると、子ども達が最も多く使う言葉は「疲れた」で、次に「普通」、その他には「ださい」「意味わかんない」「知らない」などが続くそうです。

一昔前までの子どもなら、何事に対しても好奇心一杯で「疲れ」などという言葉とは無縁だったことでしょう。一体なぜこんなことになってしまったのでしょうか。

氏は真っ先に「スマホの影響」を挙げておられました。私自身は、幼児期には絵本の読み聞かせがとても大事であると思っています。そして、今も多くの保護者はそれを実行されているだろうと思っていました。しかし、それは違うようです。最近の親は、子ども達にスマホによる幼児動画を与えているようです。これでは、子ども達を一日中テレビ漬けにしていることと変わらないでしょう。そこには脳の機能を高める五感への刺激もないことでしょう。今の子ども達の「感動する心」「物事を深く考える力」などが衰えているとしたら、それはスマホの普及も悪影響を及ぼしているのかもしれません。充分な配慮が必要なようです。