第220回 『「学力日本一」の村』

先日私は、『「学力日本一」の村』あんばい こう〈無明舎出版〉という本を読みました。ご承知のように、最近の学力テストでは秋田県がいつもトップです。その秋田県の中で、さらにトップの地域は秋田県の南部で、岩手県や宮城県に接する「東成瀬村」というところだそうです。その村は、豪雪地帯として有名で、住民も少なく、生徒も一学年一クラスしかないそうです。もちろん村には塾もありません。

では、なぜそのような村の子どもたちの学力が、日本一になっているのでしょうか。詳しい内容はその本に譲りますが、簡単に述べると、「討論を中心とした考えさせる授業」と「並外れた読書習慣」がその秘密のようです。

その村は、住民や子どもの人数も少なく、日々同じ人と顔を合わさざるを得ない、隔絶された特殊な社会です。東成瀬村の教育長は、「そのような社会の中で、子どもにありきたりな教育を施していたのでは、子どもが村を出て社会に巣立っていったときに役に立たない」と考え、小中一貫の独自な教育スタイルを作り上げていったそうです。

読書においては、全国平均の約4~5倍の予算を計上し、赤ちゃんから高校生や大人まで、トータルな読書環境を提供しているそうです。

さて、討論中心の授業と読書指導には、共通点があるように思います。それは、「他人の考え方や生き方を広く学び理解する」ということや、「考える力をつける」ということではないでしょうか。これからの日本の教育も、そのような方向を目指していくような気がします。塾としても、それらをどのように取り入れていくのか、いまから考えておくことも大切なのかもしれません。

なお、「学力」と深い関係にある「論理的思考力」について、興味深い記事を見つけましたので、以下に添付します。ご参考にして下さい。
写真はこちら
http://www.tsumugi.ne.jp/photo/yomoyama/20190204.html