第22回 遺伝子ドーピング

近代スポーツの歴史はドーピングの歴史といってもいいくらい、ドーピングは問題になっています。
しかし今、スポーツ界では従来からの禁止薬物を使った不正は早晩なくなるかも知れないと言われているそうです。それは、アスリートのモラルが今後向上するからでしょうか。

それは大きな間違いのようです。
さて、1960年代に活躍したフィンランド人のスキー選手は金メダルを3つも獲得しました。その選手が強かった秘密は、骨髄に作用し、筋肉に酸素を送る赤血球の産生を促すホルモンを大量に分泌する遺伝子に、先天的な異常があった為だそうです。

では、それを逆手にとったらどういうことになるでしょう。現在活躍している一般のアスリートの遺伝子に働きかけ、その遺伝子を組み込んでしまえば、驚異的にタフな選手に作り替えることができることになります。もちろん、その方法は薬物によるものではないので、その選手は従来のドーピング検査には引っかかりません。さらに、このような技術が進むと、バスケットボールの選手用として、背が高く手足が異常に長い子どもをつくるということも可能になるようです。
こんなことが進んでいけば、将来、オリンピックは「スポーツ」ではなく、「遺伝子操作の技術力を競う場」になってしまう恐れがあるようです。