第189回 未来の年表
ご承知のように、日本の人口はどんどん減少しています。これからあと10年、20年後には、日本の社会はどのようになっているのでしょうか。それについて知るための本として、私は『未来の年表2』河合雅司著(講談社現代新書)という本を読みました。
例えば、都心を走る電車の運行はどうなるでしょうか。日本の人口が減るのだから、乗る人は少なくなり、今よりスムーズに運行されると考えればよいでしょうか。それはどうも怪しいようです。これからは80歳以上の老人がどんどん増えていきます。すると、どうしても若者より動作が遅い人が増え、車椅子に乗った人など、介助が必要な人も増えます。すると、それらの人々の乗り降りの時間が長くなるため、列車の発着が不安定になると予想されます。このように、人口減少による影響は意外なところに及んでくるようです。
また、空き家の増加も大きな社会問題になることでしょう。今でも一人暮らしの老人が一軒家に住んでいるケースが多くなっています。すると、何年か何十年か後に、その方が亡くなった後の住居はどうなるでしょうか。その家の相続をする人がいなかったり、相続を拒否されたりしたとき、その家はずっと空き家として放っておかれます。すると、その家にスズメバチの巣ができ、周りの住人が被害に会うというような事態も考えられます。その場合、誰がどのようにしてそれを駆除するのでしょうか。そのような問題を抱えた空き家は日本中にどんどん増えていくことでしょう。現に、2016年現在の所有者が不明の土地は、410万haで、その面積は九州本土の面積を上回っているそうです。
これが2040年になると、720万haとなり、その面積は北海道の約9割に相当するそうです。
このように、日本中が歯抜けのような状態になってしまうと、人々の生活はどうなるのでしょうか。今から抜本的な対策を打っていかないと、今後はいろいろな問題がたくさん起きるように感じます。