第178回 ゆっくりお風呂に入りましょう

先日、新聞でおもしろい記事を見つけました。京大霊長類研究所のラファエラ・サユリ・タケシタ研究員らのチームが書いた論文です。

皆様は長野県山ノ内町の地獄谷野猿公苑の「温泉に入るサル」をご覧になったことはあるでしょうか。私は昔、京都から群馬の田舎に帰る途中、そこに寄ってそのサルたちを見たことがあります。何ともユーモラスな風景でした。

そのサルたちの種類は、ニホンザルです。ニホンザルは世界で最も北に住むサルで、そのサルたちが冬に頻繁に温泉に入るのは、「体を温めるのが目的」とされてきました。ところが今回の分析結果によると、それだけではないというのです。

研究チームは冬に入浴したサルとそうでないサルとを分け、その糞に含まれるストレスホルモンの濃度を観測しました。すると、入浴したサルの方が、その濃度が低いことがわかりました。また、入浴した猿の方が、春に子どもがよく生まれることもわかりました。

このことから、「サルの入浴は冬の寒さによるストレスを緩和し、繁殖や生存の可能性を高めている」という結果が得られたそうです。
私は毎日、風呂で半身浴をしながら20分くらいは読書をするのを習慣にしていますが、この結果を知って、ますますその習慣を続けようという気になりました。