第171回 教科書が読めない子どもたち

私は最近、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本を読み、これからの社会の姿や子どもたちの現状を勉強しています。また、いろいろな塾の先生方に、今の子どもたちの様子を聞いています。

ある先生は、「最近の子どもは舌足らずで、教室でも『先生、寒い!』としか言わないんだよ。」と、話されていました。その言葉に対してその先生は、敢えて「寒い?だからどうしたん?」と答えるそうです。その先生は、「今の子どもたちは『先生、教室の温度が低くて寒いので、エアコンの温度を上げてくれませんか?』というきちんとした日本語が言えなくなっているのではないか」と憂慮されています。これに対する皆様の感想はいかがでしょうか。

前述の本を読んでいても、子どもたちの国語の読解力や表現力の低下が、数字として示されています。このような時代に、私はこれからの子どもたちにとって大切なことは、英語の4技能より「国語力」だと思っています。

今既に、オフラインの自動翻訳機が発達していて、旅行先でも日本語をその器機に向かって話しかければ、現地の言葉に直してくれる時代です。そんな時代において大切なことは、子どもたちが“I feel cold.”と英語でしゃべれるようにすることより、筋道立った日本語を使いこなせる人間に育て上げることではないでしょうか。

前述の本では、「Siri」に向かって、「この近くのイタリア料理店以外のレストランを教えて下さい。」という意地悪な質問をすると、対応できないと書いてありました。私も今、アイフォンに向かって同じ質問をしましたが、イタリアレストランしか表示されませんでした(笑)。私は、今の子どもたちもこのような傾向にあるような気がしています。つまり、文章の表面的なところしかとらえず、本質をじっくり考えないようになっているのではないか、ということです。皆様のお考えはいかがでしょうか。