第127回 神道の考え方

私の姓は「鳥居」ということもあり、鳥居家の宗派は神道です。 神道は、知らず知らずに日本人の心の中に息づいています。例えば、「どんな所にも神がひそんでいる」などの考え方です。

また、日本人特有の感覚として、「親先祖が見ている」というものもあります。そしてこれは、新潟県燕市鎮座戸隠神社 禰宜(ねぎ)渡邉大蔵氏 の講演録から知ったことですが、日本人の死生観には、「全て神様の世界から来て、亡くなったらまた神様の世界に帰る」というものがあるそうです。

海外では、「契約を守ったら天国に行き、天の掟に歯向かうと地獄に行く」と考えられています。しかし、日本人はあくまでも「たま(心)はご先祖様のところに帰る」という感覚を持っているとのことです。この考え方を外国人に話すと、「じゃあ、悪いことをしても良いことをしても、結局同じ所に行くということですか」と驚き、「だったら悪いことをするに決まっている」と言う人が多いそうです。

しかし、神道の考え方は次の通りだそうです。 「悪いことをすると、あの世に戻ったときに親先祖に怒られる。また、迷惑を掛けた人に謝り続けなければいけなくなる。」そうです。だから、あの世ではとても生きにくくなってしまいます。また逆に、この世で良いことをたくさんすると、親先祖や先に亡くなった人から、「おまえは生きている間いっぱい頑張ってこちらの世界に来たね」とほめられ、あの世の生活が楽しくなるそうです。

以上でわかるように、「みんな同じ世界に行くということは、この世の生き方によって、あの世が天国にも地獄にもなる」ということだそうです。 来日した外国人が、「日本では落とした財布が戻ってくる。しかも中の現金が手つかずで…!」と驚くなどの話をよく聞きます。 このようなことを考え合わせると、日本人の心の中には、無意識のうちに神道が息づいているのかもしれないと、感じました。