第110回 シェアリングビジネスの問題点
皆さんは、海外で「民泊」ビジネスを展開するAirbnb(エアービーアンドビー)をご存知でしょうか。民間の人が、空いている部屋やアパートの一室などを登録しておくと、それを利用したい観光客などをAirbnbが仲介してくれる、というサービスです。
民間の人にとっては、普段は収益を生まない物件から臨時収入が得られるというメリットがあります。観光客などにとっては、一般のホテルに比べて宿泊料が2/3程度で済むので安上がり、というメリットがあります。そのような点で、このサービスはとても人気を呼んでいるそうです。
フランスでは、年間八千万人以上の観光客を集めていますが、ホテルの客室稼働率は、約60%程度と低調だそうです。その背景にはAirbnbの存在があります。パリ市内の民泊物件数は、ホテルの2倍にものぼるそうです。
しかし、このシステムには問題もあります。例えば、パリでアパートを経営している大家さんにしてみると、アパートからの家賃収入より、民泊として貸し出した方が、月間の収入の割が良いということになります。そのため、パリの家賃相場が急上昇するという事態を招いているそうです。また中には、アパートの大家さんがアパートを民泊専用にしたいがために、今居る店子を追い出しにかかっているようなケースもあるようです。
このように、シェアリングビジネスは一見、とても合理的で便利なシステムのように見えますが、いろいろな問題点も潜んでいるようです。今、世の中にはいろいろ新しいことも生まれていますが、それが今後どうなっていくかは、未知数です。私たちは、その変化にいかに柔軟に対応していくかが、問われることになるでしょう。