第6回 毛虫との戦い

最近の私の早朝は大忙しです。6時過ぎに外が明るくなると、じょうごがささり、水の入ったペットボトルとワリバシ、手鏡を持ち、小さな庭に出動します。それは何をするためかというと、今栽培中のハクサイやコマツナについた毛虫、ナメクジなどの虫をとるためです。

野菜を育てるにあたって、頻繁に農薬をまけば虫がつきません。しかし、それでは土が傷んだりしますし、美味しい野菜はとれません。そこで私は無農薬の野菜作りに挑戦しています。そのために、このような手間のかかる作業が必要となるのです。

蝶やガは庭を優雅に飛び回っていますが、彼女らこそが野菜に卵を産み付けます。そしてそれが孵化すると、アオムシや毛虫になります。最初の幼虫は数㎜の大きさですが、コマツナなどの葉を食べ続けると、葉に大きな穴をあけてしまい、3~4㎝の大きな毛虫に成長します。私の庭に多く発生している毛虫は、薄茶色のタワシのような形をしています。

庭に出た私は、まず鳥の目になって、上からそれらの虫やナメクジを探します。見つけるとワリバシでつまんでペットボトルにさしたじょうごの中に放り込みます。すると、その毛虫はペットボトルの中にポトンと落ちるというしくみです。しかし、「敵もさる者」、上から見えるところに居るものは全体の約3割、残りの7割は葉の裏に隠れています。

そこで手鏡の登場です。ハクサイなどの葉の裏側に手鏡を当てると、続々とナメクジや毛虫が発見でき、それを根気よく一匹ずつつかまえていくのです。一日でもこの作業を怠ると、野菜が虫に負けてしまうので大変です。

ところである時、一体この毛虫の成虫はどんな姿をしているガなのかという疑問がわき起こりました。それがわかればガの段階から捕獲することも考えられます。そこで私はインターネットでいろいろ調べましたが、結局わからずじまいでした。その話を妻にすると、ポンと一言。「それならその毛虫を飼って、羽化させたらいいじゃないの」。正に「敵を知れば百戦危うからず」でした。

今まで毛虫を退治することばかり考えていた私の発想力の乏しさに愕然としました。しかし、今に至るまで、その毛虫を飼おうという決断には至っておりません。