第97回 冬野菜はなぜおいしい

冬に収穫するネギやハクサイが甘くて美味しいのはなぜなのでしょうか。私はその理由を国際高等教育院教授の瀬戸口浩彰氏の文章を読んで知りました。その理由は次の通りです。

純粋な水は0℃で凍り始めます。しかし水に砂糖を混ぜると、その砂糖水は0℃では凍らず、マイナス10℃くらいから凍り始めます。これは、中学の理科でも学ぶ凝固点降下という現象です。植物は体内にデンプンという形で栄養分を溜め込みます。しかし、デンプンは水に溶けないので、凝固点降下には無関係です。そこで、植物は寒くなってくると、そのデンプンを酵素で分解して水溶性のブドウ糖などに変えるのです。そうすれば、冬の気温がマイナス10℃くらいに下がっても,細胞の中の液を凍らせずに済むというわけです。

これを知って私は、冬に鍋などで野菜を食べるときは、野菜たちに「よくがんばってくれてありがとう」と言ってやりたい気持ちになりました。