第66回 リニア新幹線

時速600㎞も出せるというリニア新幹線は、本当に必要なのでしょうか。もし完成したとしたら、大阪からあっという間に東京に行けて便利かも知れません。しかし、リニア新幹線はその全長の86%がトンネルとのことです。そしてそれは、南アルプスの地下を通るそうで、大切な地下の水脈を壊しかねないなどの問題も抱えています。

それに加えて、もし事故が起きたら、その時乗客はどう避難するのでしょうか。現在の新幹線でも、故障や事故はあります。その時乗客は、最寄りの駅まで誘導されたり、最悪の場合は線路に下りて歩いて避難したりすることもできます。

その点、リニア新幹線はどうなのでしょうか。例えば、厳冬に南アルプスの地下でリニア新幹線が止まってしまったら、どうなるのでしょうか。たとえ、乗客が非常口を千m以上昇って地上に出たとしても、そこは厳冬の南アルプスです。このように、事故が起きたときの状況は、現在の新幹線とは全く違うように思われます。

最悪の場合が火災事故でしょう。現在の新幹線なら、トンネル内での火災事故が起きても、乗客は何㎞か歩けばトンネルの外に脱出できます。しかし、86%がトンネルというリニア新幹線で、火災事故が起きたら、その時はどうなるのでしょうか。

東京―大阪間が1時間程度で行き来できるようになるという便利さだけに目を奪われると、このような重大な問題を考える視点が失われてしまうように感じます。