第63回 トムソン・ガゼルの行動①

皆さんは,テレビの動物の番組などで,アフリカなどに住むトムソン・ガゼルという動物についてご存知のことでしょう。トムソン・ガゼルは草原で群れをつくり,草を食べて生きています。そして時折,運悪くライオンなどに襲われて,食べられたりします。

群れがライオンなどの肉食動物に狙われたとき,一匹の勇敢なガゼルがびっくりするような行動にでるということをご存知でしょうか。何とそのガゼルは,敢えてライオンの前に立ちはだかり,ピョンピョン跳ねたりして,ライオンに対し「食べるのなら私を食べて下さい」というような行動をとるのです。

私は今までこの行動を,仲間を逃がして助けるための「自己犠牲的行動」と思っていました。しかし,最近の学者の研究からすると,どうもそうではないようです。

そのガゼルは,その行動を悲壮感に浸ってやっているわけではなく,むしろ,楽しんでやっているようです。つまり,そのガゼルはライオンの前でピョンピョン跳びはね,「捕まえるものなら捕まえてごらん」という感じのゲーム感覚でやっているようなのです。そして,そのようなガゼルの行動の結果として,弱いガゼルや,ガゼルの子供が救われるという構図のようです。