第544回 忍者の実像

皆さんは忍者と聞くと,どんなイメージを抱かれますか?手裏剣を投げたり,巧みな技で人を殺したりする姿を思い浮かべるかもしれません。忍者の聖地として知られる伊賀と甲賀は,農業を営みながら武装し,地域を守る地侍が多いところでした。室町時代後期に起きた応仁の乱以後,こうした人々の中で,屋敷に忍び込んで情報を得たりする間諜の術に長けた者たちが現れました。彼らはやがて「忍び」として全国の大名や武将に雇われるようになりました。こうした忍び(忍者)に求められる資質には3つあるようです。

第1は「知恵」。これは多くの本を読み,そこで得た知識を実践に生かし,予期せぬ事態にも臨機応変に対応できる能力です。

第2は「記憶力」。これは敵に関する情報を集め,それを正確に記憶しておく力が求められるからです。そのためには記憶術なども修得していたようです。

第3は「コミュニケーション能力」。忍びは敵の領地に入り,地元の人々と仲良くなって,必要な情報を集めます。そのため,人付き合いの上手さが求められます。

「忍」という文字には「耐える」「我慢する」という意味があります。また「忍」の漢字は,上が「刃」で下が「心」です。忍者には心臓に刃物を突きつけられるような極限の状況にあっても,決して動じない心(不動心)が求められます。

いかがでしょうか。以上のようなことがわかってくると,忍者のイメージがだいぶ変わりますね。なお,この文章は,三重大学人文学部教授 国際忍者学会会長 山田雄司氏の講演ダイジェスト文を参考にしています。