第496回 脳にいいこと
平井麻衣子氏はスイスで医療分野のイノベーションを専門に活動している医師です。氏は30代のとき,一緒にいた同僚から「君の様子はおかしい。先程から眼球が動いていない」という指摘を受けました。これはまさしく脳梗塞や脳出血のサインです。すでにその兆候が出てから2時間が経っていて,危険な状況でした。氏はすぐに病院に駆け込みました。
結果は脳腫瘍,その後放射線や薬物治療が始まりました。治療は成功しましたが,待っていたのは後遺症。「少しのことで疲れる」「落ち込む」「イライラする」「集中して仕事ができない」「言葉が出てこない」「終わりの見えない頭痛」などが氏を襲いました。この時,氏が考え,実現したいと思ったことは,「患者が医師であるという立場から,どうしたらこの状況を突破できるのか,その実験台になり,同じように苦しむ人の参考になろう」ということです。
氏はその後1年間にわたって,「運動」「マインド」「生活習慣」「栄養」の分野において「脳にとって良い生活」を追求していきました。その結果いろいろなことがわかりました。例えば,「太陽が出ている間に散歩すること」や「(シャワーではなく)入浴をすること」などの大切さです。氏はそれらを実践することで,困難を乗り越え,以前の生活に復帰することができました。
私自身は毎週かなりの本を読んだり,このようなブログを定期的に書いていますが,これらのことをテキパキとこなせるのは「健康な脳」があればこそです。そのような意味でも平井氏の体験に基づく「脳にいいこと」を追求する論文は,とても参考になりました。このことにご興味をお持ちの方は『「脳にいいこと」すべて試して一冊にまとめてみた』〈サンマーク出版〉をお読みください。