第476回 組織の目的と手段

最近では,大きな会社が不正をしたり,人手不足のため経営がうまくいかなくなったりすることをよく耳にします。このようなことが起きる背景には,一体何があるのでしょうか。

『ドラッガーに学ぶ人間学』〈致知出版社〉の著者である佐藤等氏は,「組織の第一の目的は世の中の人に喜ばれることであり,具体的には魅力的な製品やサービスを提供し,お客様に満足を与えることである」と述べています。また,「第二の目的は,従業員の成長であり,人は魅力的な製品やサービスを提供するための仕事を通じて成長する」としています。この考えをもとにすれば,うまくいっていない組織は「お客様に喜んでもらう」とか「魅力的な製品やサービスを追求する過程で,従業員の成長を促す」という原理原則を踏まえていないということになります。では,それらの組織の目的は何なのでしょうか。それは「利益追求」かもしれません。お客様にしても,従業員にしても,その目的が「利益追求」であると感じた瞬間,その組織から距離を置き始めることでしょう。以上の考えは,永業塾塾長の中村信仁氏の文章を参考にさせていただきました。この文章により私は「組織とは何か」について明確なイメージを持つことができました。