第475回 ドイツ人のすごい働き方
私は数十年前にドイツに少し住んでいたことがあります。その時に驚いたことの一つに「地下鉄や鉄道の駅に改札がない」ということがあります。これでは乗客は無賃乗車し放題ということになります。
ただしこれには仕掛けがあって,時々列車内に係員が入り,チケットをチェックするのです。もし,チケットがない場合には,高額な罰金を払わされます。このような仕組みを作ることにより,日本では当たり前になっている自動改札の設備を不要にし,トータルで利益を出せるようにしているようです。
また,ドイツの鉄道では自転車を載せられる専用の車両もあります。これは,三週間もの長い休暇をスイスなどでゆったりと過ごす人々へのサービスとして使われています。さらに,ドイツは日本に比べて約1.5倍も高い労働生産性を有し,日本より約40%も多い平均賃金を得ています。年間の休暇にしても,2~3週間の長期休暇とともに,約30日間の有給休暇のフル取得が可能です。
以上のような社会はどのようにして作られているのでしょうか。それは徹底した合理主義とプライベート重視の国民性にあるようです。
例えば,長期休暇取得の件にしても,職場内で誰が休みを取っても他の人がその人の仕事をバックアップする仕組みを作っているために可能となっています。ドイツの人々は毎年,その長期休暇を楽しむことを目標にして仕事を進めるために,ヤル気も出て,仕事の能率アップも可能になっているようです。
以上の情報は,ドイツに計17年在住し,ドイツ人の働き方を熟知している西村栄基(しげき)氏の書いた『ドイツ人のすごい働き方』〈すばる舎〉を参考にしています。日本の職場をすぐにドイツ式に変貌させるには無理があるかとは思いますが,すぐにでも取り入れられるところは変えていきたいものだと思いました。