第477回 疲れない脳の作り方

皆さんがパソコンやスマホなどのデジタル機器を長時間使用したとき,とても疲れたと感じることはないでしょうか。この疲労の原因は「体」ではなく「脳」にあるようです。

現代のビジネスパーソンの中には,次のような行動パターンをとる人も多いことでしょう。
1.出勤時に歩きながら,あるいは電車の中でスマホをいじる。会社に着くとパソコンのスイッチを入れ,机に座ったままでほとんどの仕事をこなす。
2.昼休みも,食事をしながらスマホを見る。
3.午後も同じようにパソコン三昧をする。太陽光も浴びず,体もほとんど動かさず,頭だけを酷使し続ける。
4.帰宅する電車の中でもスマホを見る。帰ったらテレビを見ながら食事をし,その後はゲームで遊ぶ。ベッドに入ってもスマホをいじる。

厚生労働省の統計データによると,2000年以前には20万人程度だったうつ病患者が,ほんの20年で100万人まで急増していることが明らかになっています。

この原因は,脳内でセロトニンというホルモンを分泌させるセロトニン神経の弱体化も一因だとされています。セロトニン神経は,朝の目覚めと共に規則的な活動を始め,セロトニンというホルモンを分泌させ,心のバランスを保ったり,自律神経を整えたりします。では,このセロトニン神経を活発化させるには,どのような行動をとればいいのでしょうか。それは,「太陽の光を浴びる」ことと,「リズム運動を行う」ことです。リズム運動には3つあり,1つ目は「歩行」,2つ目は「咀嚼」,3つ目は「呼吸」です。つまり疲れない脳を作るには,朝に太陽の光をいっぱい浴びながら散歩したり,よく噛んで食事をとったり,深呼吸を時々することなどが大切だということです。その他の注意点はまだまだたくさんありますが,さらに学びたいと思われる方は『医者が教える 疲れない人の脳』有田秀穂著〈三笠書房〉を読まれることをお勧めします。