第469回 細胞呼吸の大切さ
「呼吸」と聞くと,肺での呼吸をイメージすることでしょう。もちろん,その肺呼吸も大切ですが,肝心なのは全身の細胞レベルで行われる「細胞呼吸」です。細胞呼吸が低下し,酸欠に陥ると,細胞はエネルギー不足となり,体のいろいろな部分がダメージを受けます。例えば,筋肉細胞が酸欠になれば肩こりや腰痛が生じ,肌細胞で起これば,肌のしわやたるみを引き起こします。
細胞の酸欠を引き起こす一因は,肺呼吸の不完全さにもあります。例えば,マスクの着用です。マスクを着けていると息苦しくなるため,呼吸の回数が増え,浅い呼吸になってしまいます。
さらにパソコンやスマホの使用過多も問題です。それらの使用時は前かがみになるため,空気の通り道である気道が狭くなってしまいます。その上,横隔膜も動きにくくなるため,呼吸が浅くなってしまうのです。細胞呼吸を活発にするには,ヨガで行うようにゆっくりとした深い呼吸を心がけることが大切なようです。
さて,皆さんの日頃の呼吸法はいかがでしょうか。その良し悪しを見分けるための簡単なテスト(ブレスホールドタイムテスト)があるのでご紹介しましょう。それは次のように行います。
1.普段通りの呼吸をして,鼻から息を吐いた後,鼻をつまむ。
2.そのまま息をしたくなるまでの時間を計る。
3.30秒経過するまでに,唾を飲み込みたくなったり,喉,首,肩,お腹の筋肉が勝手に収縮しないかをチェックする。
・そういった症状がなく,30秒以上息を止められたら合格です。
ちなみに私は何とか40秒は息を止められたのでホッとしました。
なお,この文章は,ハーバード大学などの客員教授をされている根来秀行医学博士の談話などを参考にして書いています。