第458回 天地無用

以前何回かご紹介していますが,私は倫理法人会という早朝勉強会に加入しています。そこでは毎月,『職場の教養』という冊子が配られ,それが企業の朝礼用として役立っています。先日,その冊子をパラパラと見ていたら,「天地無用」という言葉をテーマにしたページがあり,早速読んでみました。そこで初めて長年の疑問が解け,気持ちがスッとしました。

天地無用という言葉は,宅配便の荷物などに使われ,そのように書かれたシールなどが貼られています。

「天地」とは,天と地,つまり上下のことを指します。そして「天地無用」と表示された荷物は「上下を入れ替えてはいけない」という意味を表します。ところが,「無用」という言葉には「心配無用」などの例があるように,「どうでもいい」とか「気にしなくてもいい」という意味もあります。つまり「天地無用」という言葉は,「上下を気にしなくてもいい」ともとれるのです。長年私はその矛盾が気になっていました。

この冊子はそのギャップを見事に解明してくれました。それは,次の通りです。

運送業ではかつて,「上下を入れ替えてはいけない」という荷物には,「天地入替無用」と表示していたそうです。その後,その用語のうちの「入替」が省略されて,「天地無用」となったのです。

それにしても「天地無用」とは誤解を招きやすい表現ですね。「天地入替厳禁」などという表示などに直してもいいように思います。