第437回 合コンさしすせそ

私は人と会話する時,相手に質問をして,できるだけ相手に喋ってもらい,私自身は聞き役に徹するよう心がけています。そのようにすると,相手の様子がよくわかるし,相手も気持ち良く話して下さいます。その結果,相手の人と会ってから別れるまでの間に,私が知った相手の情報が9で,相手の人が知った私の情報が1などということがよくあります。

ただ,このような姿勢でいると,会話が途中で途切れてしまい,気まずい沈黙が流れることもあります。

そこで私はエッセイスト,作家であり,インタビュアーとしても有名な阿川佐和子女史の『話す力』〈文春新書〉を手に取って読んでみました。この本は「話す力をいかに高めるか」について,順序立てて解説している内容とは少し違います。女史の今まで会った人と交わした膨大なシーンや会話を披露しつつ,「話す力」の強化と共に,「聞く力」の強化についても書かれているものです。その中で,私が面白いと感じたのが「合コンさしすせそ」というテクニックです。このテクニックは,女史が合コン慣れしている妙齢の女性から教わったものだそうです。このテクニックはどちらかというと,「話す力」より「聞く力」の範疇に属しますが,会話の中ですぐに使え,しかも相手が気持ち良く話をし続けてくれるという魔法の言葉となると感じました。それは相手との会話の中で,次の「さしすせそ」の言葉を挟むと良いというものです。

 さ…さすが(ですね)!
 し…知らなかった(です)!
 す…すごい(です)!
 せ…センスがいい(ですね)!
 そ…そうなんだ(そうなんですね)!

特に人は年齢を重ねるほど他人に褒めてもらえる機会が少なくなります。だから心の底ではいつも誰かに「褒められたい」と思っています。「さしすせそ」はそんな人の心を見事に掴んだフレーズだと感じました。
自分自身の心の中を見つめてみても,確かに私も若い人から「鳥居さん,その服装ますます若く見えて,センスがいいですね」などと言われたら,一瞬にしてその人を好きになってしまう自分がいると白状せざるを得ません。