第436回 苦難突破の秘策

皆さん,落語はお好きでしょうか。私はアマゾンプライムなどを利用して,落語をよく聴きます。落語はその内容と共に,話し方などがとても勉強になります。さて,落語家の中に,柳家花緑さんという方がおられます。彼は戦後最年少の22才にて真打に昇進しました。彼は,自身が「LD」という「学習障害」で,その中でも「ディスレクシア」という「識字障害」をもっていることを公表しています。また「ADHD」(注意欠如・多動性障害)の症状もあるとのことです。このため,小・中学生時代から大変な問題児として扱われてきました。では,勉強も全くできず,字の読み書きもできない花緑さんは,いったいどのようにして50才を越えた今まで,逞しく生き抜いてこられたのでしょうか。

1つは,噺家としての才能を徹底的に磨き上げてきたということが言えるでしょう。もう1つは,目の前に困難が起きた時,人生を好転させ,願望や願いを実現していくための有効な3つの方法を実践していったことだそうです。

その1つ目は「掃除」です。掃除をすると場が整い,パワーが上がるそうです。確かに困難が起きた時,身の回りのことが疎かになりがちですが,1日5分でもいいので掃除をすれば気分も良くなり,運気もついてくるようです。

2つ目は「笑い」です。確かに「笑うと免疫力が上がり,血糖値は下がる」と故筑波大学名誉教授の村上和雄先生もおっしゃっていました。「笑い」についても,「面白いから笑う」のではなく,「笑っているうちに面白くなってくる」ので,多少面白くなくても笑ってしまうのがコツのようです。

3つ目は「感謝」です。感謝の反対は「頑張る」だそうです。「頑張る」は「今,無い」ものを追いかけることですが,「感謝」は「今,有る」ものをありがたく感じる心だそうです。

花緑さんの成功のポイントは,「勉強を頑張る」ことより,「今,有る」得意の「おしゃべり」を追求したことにあるのかもしれません。