第427回 天才ごはん

「子どもの成績は下がる一方で,上向く気配がない」「我が子はいつも落ち着きがなく,勉強に集中できていない」などと悩んでいる親御さんもおられることでしょう。また,大人の方でも「仕事への意欲が全然わかず,いつもミスしてばかりで評価も低い」などで悩んでいる方も少なくないでしょう。

そんな悩みを解決するために,子どもを𠮟りつけたり,大人はスキルアップのためのセミナーに通ったりすれば,効果は表れるのでしょうか。それは違います。それらの悩みを解決する鍵となるのは,「脳の働きを良くする」ということです。そのためには,バランスの良い食事をして,タンパク質をはじめとした「脳の働きを良くする栄養をたっぷり取る」ことに尽きます。

秋の教材展示会で,私共のスタッフがある塾の先生から興味深い本の紹介を受けました。それは『天才ごはん』藤川徳美著〈方丈社〉という本です。個人塾には,落ち着きがなく,集中力がない生徒なども入塾してきます。その塾の先生は,そんな生徒に対しては勉強の面倒を見る傍ら,親御さんも交えて藤川氏の提唱する栄養療法を勧められるそうです。それを実践すると,徐々に集中力もアップし,成績も向上していくとのことです。

藤川氏は広島県でクリニックを開業している医師で,うつ・パニック・不安障害・統合失調症・子どもの発達障害などに悩む患者さんに向けて,栄養療法を中心にした治療を行い,実績を上げておられます。氏の基本的な考え方は,精神的な病も含めた慢性的な疾患,だるい,重い,つらいなどの不調の原因は,必要な栄養素の絶対量が不足している「質的栄養失調にある」というものです。

質的栄養失調とは,「糖質の取り過ぎ+タンパク質の不足+ビタミン・ミネラルの不足」です。私も何回かこのブログで,「ビタミン・ミネラルが不足しているコンビニ食のような食事ばかりを取り続けることは控えましょう」などと主張していますが,氏の療法の基本もそこにあるようです。

さらに氏の療法では,日々の食事に加え,プロテインや鉄分,マグネシウム,ビタミンCなどのサプリメントも,併せて取るように指導されるようです。

私はこの本を読んで,ますます日々の食事の質と内容の大切さを痛感しました。