第402回 「幸せ」の研究

皆様は「幸せ」について,どのようなお考えをお持ちでしょうか。アメリカの心理学会では新しい学問として「ポジティブ心理学」の研究が本格化しています。さて,皆様は「仕事がうまくいったら幸せになれる」とお考えでしょうか。それとも逆に「幸せを感じているからこそ仕事がうまくいく」と考えておられるでしょうか。これについては次のような実験結果があります。

「幸せを感じている営業マン」と「そう感じていない営業マン」を比べると,前者の方の受注率が平均で約37%高い。

つまり,より良く生きるには「いつも幸せを感じていることが大切である」と言えそうです。さて,では幸せとは一体どんな状態を言うのでしょうか。それは「前向きな精神的エネルギーを持っている状態」であり,さらに「幸せ力」は,あたかも車の運転の練習のように「誰でも訓練すれば高めることができる」ようです。

アメリカのフレッド・ルーサンス博士によれば,私たちがスキルとして高めていける「幸せ力」は次の4つであるとのことです。

1.「ホープ(希望)」=道は見つかると信じる力。
2.「エフィカシー(有効性)」=踏み出す力。
3.「レジリエンス(回復力)」=立ち向かう力。
4.「オプティミズム(楽観)」=楽しむ力。

これらはそれぞれの頭文字を取って「HERO」(ヒーロー)と呼ばれています。HEROは「心の資本」あるいは「心理的資本」とも呼ばれています。つまり「幸せを感じられる人は,心の資本をたくさん持っている」と言えるようです。心の資本が大きい人は,
(1)自分を信じるからこそ,その根拠が見つかり,
(2)行動するからこそ,準備が進み,
(3)前向きに語るからこそ,良い材料が揃い,
(4)未来を信じるからこそ,明るい見通しが見えてくる,
という良い循環になるようです。

私自身の過去の経験に照らしてみても,確かにこのような流れになったときは気分も良く,仕事もうまくいったと感じます。

なお,この文章は(株)日立製作所フェロー(株)ハピネスプラネット代表取締役CEO・矢野和男氏の講演ダイジェスト文を参考にして作成しました。