第391回 ガソリンエンジン車を取り巻くこれからの社会

先日,タクシーに乗ったところ,その車は完全なEV車でした。その車にとても興味がわき,運転手さんから色々話をお聞きしました。まず驚いたのが,車の走りっぷりです。音はとても静かで,「ウィーン」という感じの加速も素晴らしかったです。また,ブレーキの使い方は,ガソリンエンジン車と違い,アクセルペダルを離した途端,ブレーキがかかるとのことでした。

考えてみると,まさにその通りなのでしょう。ガソリンエンジン車では,絶えずガソリンを燃焼させていますから,エンジンは絶えず回転しています。ブレーキはその運動をコントロールする役目を果たします。

一方,EV車はどうでしょうか。多分,アクセルペダルを離した途端,モーターの電源がオフになるのでしょう。それによって自動的にブレーキがかかる仕組みになっているように思いました。

では,EV車では急な下りの坂道などで使う「エンジンブレーキ」はどうなのでしょうか。それについても対応がなされ,それなりの仕組みがあるようです。運転手さんに,「EV車では何が一番大変ですか?」と尋ねると,やはり「充電です」とのことでした。ガソリンエンジン車ではガソリンスタンドで給油するのに5~10分で済みます。一方,EV車の充電は30分程はかかるようで,「その待ち時間は営業がストップしてしまうので辛い」とのことでした。

先日,近畿地方の高速道路で急に降ってきた雪のため,24時間近く車が雪の中に閉じ込められるという事態が発生しました。このようなときにガソリンを満タンにして出発したガソリンエンジン車なら,何とか暖房を止めずにしのげることでしょう。一方,EV車ではどうでしょうか。途中で電池切れになったら,充電もままならず,命にかかわる事態になるかもしれません。こんなことを考えると,まだまだEV車には問題点もあるようです。

さて,今後の自動車業界はどうなっていくのでしょうか。

現在ガソリンスタンドは過疎エリアを中心として,減少傾向です。すると今後は自宅で簡単に充電できるタイプの軽EV車が普及してくるのでしょうか。それにつれて,ガソリンスタンドはますます消えていくのでしょうか。さらに整備士不足という問題もあります。国土交通省の資料によると,自動車整備学校への入学者は,2003年度と2016年度を比べると,44.7%も減っているようです。このような傾向が続くと,「車が故障してもなかなか直してもらえない」という事態もおこりそうです。以上のような問題点も,河合雅司士著の『未来の年表』〈講談社現代新書〉に記載されています。このような本を通じて,「日本の今後の姿」をイメージし,今からそれに備えていくことも大切なのかもしれません。