第392回 「認知症」を学ぶ

少し前に私自身は,暗い映画館の中で,認知症のような体験をしました。それがきっかけとなって認知症に興味を持ち,今回調べてみました。

まず,認知症とはどんな状態のことをいうのでしょうか。それは「認知機能が働きにくくなったために,生活上の問題が生じ,暮らしづらくなっている状態」といえます。また,認知機能とは,「ある対象を目・耳・鼻・舌・肌などで捉え,それが何であるかを解釈したり,思考・判断したり,記憶に留めたりする働き」のことです。

では,認知機能の衰えから起こる記憶障害と,単なる「もの忘れ」とはどんな違いがあるのでしょうか。

例えば,「5月×日の18時に,友人と食事をする約束をしたが,その日は朝から忙しく,18時30分に友人からの電話でその約束を思い出した」などの場合を考えてみましょう。

これは単なる「もの忘れ」です。

一方,「18時30分に友人からの電話を受けても,約束したことすら思い出せなかった」とします。これが「記憶障害」です。たとえその約束を自分の手帳に書き込んでいたとしても,「その約束をしたことも書き込んだことも思い出せないので,その予定が本当なのか確証が持てない」ということも起こります。

このようになってしまうと,認知機能の障害のために,生活上の問題が生じ,暮らしづらくなります。

また認知症に罹ってしまったある人は,お風呂に入ったとき,お湯がヌルヌルするように感じたり,また違う日には熱すぎたり,逆に冷たいと感じたりします。これも認知機能の働きに少し狂いが出てきたことが原因です。このようなことが続くと,「お風呂に入りたくない」という気持ちも強まります。介護をしている方がこのようなケースに遭遇すると,「介護への抵抗」と捉えてしまい,それが両者のトラブルの元になることもあるようです。

また,認知症になると,いろいろな社会的障壁に直面します。

→例えば,次のようなケースです。
・字を書くことが難しいのに,銀行で自筆サインを求められた。
・徘徊すると決めつけられ,部屋を施錠された。
・仕事中,作業に時間がかかってしまったため,「さぼっている」と非難された。

このような場面に遭遇すると,認知症の人はとても傷つき,辛い気持ちになります。以上述べたような問題を解決するには,周りの人が認知症について理解し,認知症の人に寄り添った対応をすることが大切なようです。

今のところ,私自身やその周りについては,認知症に関する問題は起きていませんが,「転ばぬ先の杖」として今から勉強しておこうと思います。そのために『認知症世界の歩き方』〈ライツ社〉という本を取り寄せ,読み始めました。この本を読むと,認知症についてよく理解でき,その対応についてもよくわかるようになりました。