第375回 オンラインやスマホの危うさ

コロナ禍での今の世の中は「オンライン」が流行っています。皆様の中には,オンライン会議などを体験された方も多くおられることでしょう。顔を直接見ながら行う「対面会話」と,zoomなどを使いモニターを介して行う「ウェブ会話」は,「全く同じ」なのでしょうか。私は「何か違う」と感じ,「ウェブ会話」は何となく苦手です。

その違いはどこにあるのか,そして「オンラインコミュニケーション」や,スマホの多用は何か弊害が生じるのかについて知ろうと,『オンライン脳』川島隆太著〈アスコム〉を読んでみました。すると,「対面会話」と「ウェブ会話」では,脳の活動センサーを使った実験の結果,「脳の同期」に違いがあることがわかりました。

対面会話では参加者それぞれの間で「共感」が生じたのに対し,ウェブ会話ではそれが生じませんでした。つまりウェブ会話では脳の活動の同期現象が見られなかったということです。詳しくは本書に譲りますが,その原因は次の2つにあるようです。

(1)人と人とのコミュニケーションの基本は,「相手の目を見る」ことにあるのにもかかわらず,オンラインコミュニケーションではそれがうまくいかず,会話に大きな違和感が生まれる。

(2)一般的なオンラインでは,通信速度の問題から映像と音声が微妙にズレてしまう。その結果,脳にとっては粗い電子的な紙芝居のようにしか感じられない。

結局,このようなことが原因となり,会議の参加者同士に「相互信頼関係」が生まれにくいようです。

またこの本では,「オンライン」と「スマホ」で脳への複合的リスクがいっそう高まることについての警告がなされています。その根拠の1つが2013年度に仙台市で実施された「標準学力検査」と「生活・学習状況調査」の結果です。これによると,「携帯・スマホを使う時間が長い生徒ほど,成績が悪い」などのデータが出ているようです。その他「LINEなどのインスタント・メッセンジャーは,学力の押し下げ効果が大きい」「スマホで調べるのと,紙の辞書で調べるのとでは,『記憶の再生力』が違う」「スマホを使いすぎる子は,3年で大脳全体の発達が止まってしまった」などの内容が書かれています。

塾においては,わかりやすく勉強を教えることと共に,「スマホなどとの上手な付き合い方の指導」も大切なのかもしれません。