第326回 コロナウイルスとイメージ力
私はかつて,塾で教えているときも,そして今,教材を作成しているときも「例え」を使うことを重視してきました。
例えば,理科の気象のところで出てくる「寒気団」について,授業で教えるとします。
このとき私は,冷蔵庫を例えに出します。
「ねえみんな,冷蔵庫の扉を開けたときのことを考えてね。その中にあった冷たい空気は,上の方に上がって顔の方がヒヤッと感じるだろうか?それとも下の方に下がって足下の方が冷たく感じるだろうか?」という調子で授業を進めます。
そして最終的に,「寒気団は冷たくて,地表に張り付くような重い空気の塊である」ということを生徒の頭に染み込ませます。
このように例えを用いると,「つまり,それは例えるとこんな感じのことだよ」と伝えることができ,生徒もイメージしやすく,記憶の定着も容易になります。
よく,「優れた人は難しいことを分かりやすく説明するのが上手だ」と言われますが,私もそれに近づこうと努力しています。
さて,先日フェイスブックを見ていたら,ある方が「コロナを理解するには,タバコの煙をイメージしたら良い」と書いておられました。
私はそれを読んで,「なるほど,それは分かりやすい。私もいつもそれをイメージしよう」と思いました。
それは具体的にはどういったことでしょうか。
それは,タバコの煙をコロナウイルスと例えて考えるということです。
密室の中で誰かがタバコを吸うと,その煙は同席する人が吸い込んでしまいます。
すると,吸い込んだ人は,喉を傷めたりします。
ただし,タバコの煙なら,臭いも色もありますから,それを吸い込まないような対応策も取れます。
一方,コロナウイルスはどうでしょうか。
コロナウイルスは目にも見えず,臭いもありません。
そして,誰が吐き出しているかもわかりません。
さらに,タバコなら四六時中煙を吐き出している人は稀ですが,コロナに罹っている人は,休みなくウイルスを吐き出しています。
コロナウイルスは接触感染ではなく,空気感染が主ですから,予防の基本は濃密なウイルスの塊を吸い込まないことが第一だと思います。
このことから,私自身は次のような自衛策を考えました。(以下は私個人の考えと対策なので,参考程度にお読み下さい)
1.自分の周りにいる人全てが喫煙者だと考える。すると,その人たちが吐き出す煙が充満していて,大量に吸い込まざるを得ないような場所には行くのを避けるようにする。
2.周りの人がタバコを吸ったとしても,すぐにその煙が風に乗って飛んでいくような場所に身を置くように心がける。すると,自分が行くべき場所が限定されるようになる。
3.タバコの煙が喉に残ったとしても,それが肺に入らぬよううがいを絶えず心がける。
私は日々会社と家との行き帰りで,会社では絶えず空気清浄機を回しています。
また,自宅では庭いじりを趣味としているので,濃厚なタバコの煙と例えられるようなコロナウイルスを吸い込むリスクはありません。
このようにコロナウイルスをタバコの煙とイメージするのは,私にとってとても分かりやすい「例え」となりました。