第315回 ゲーム依存症(ゲーム障害)
私共のスタッフが展示会に出席した際、ある塾の先生から次のような話を伺いました。
「私の塾に小学生の頃から通塾してくれている生徒がいます。
その子は成績もよく、小学生の頃はよく読書をするなど勉強熱心で、将来を楽しみにしていました。
ところが、その子は中学生になって、ゲームにのめり込んでしまい、塾での学習でも問題文を読み飛ばすなど、それまでとは違った兆候が出ていました。
それにつれ、学校の成績も急降下しました。
そこで親御さんは慌ててゲームを取り上げました。
それが功を奏して、その症状は徐々に回復し、その後、猛勉強して第一志望の学校に合格できました。
その結果に安心した親御さんは、その入学を機にゲームを解禁したところ、その子は再びゲームにのめり込んでしまいました。
やがてその子には、睡眠障害や感情の抑制がきかないなどの症状が出るようになりました。
朝、学校に行こうとして玄関で気を失ってしまうとか、突然痙攣するなどということも起こりました。
塾には『来られるときに来たらいいよ』と話していましたが、コロナ休校でこもりがちになったことも悪く作用したように思います。
本人はゲーム依存症の診断を受け、現在、心療内科で治療しています。
精密検査で脳の一部に障害も見られたようです。
依存症になってしまうと、ゲームを取り上げるという対処は逆効果で、少しずつゲームに触れる時間を減らすなど、徐々に日常に近づけるしかありません。
親御さんからこうした話を伺って、将来を楽しみにしていた子でもあり、私も強いショックを受けました。
あまり報道されませんが、今こうしたゲーム依存症で心療内科を受診する人が、中高生を含め非常に多くなっているようです。」
その先生の話は、以上のような内容でした。
私はスタッフからその話を聞き、その先生と同じく強いショックを受けました。
そこで、早速NHKの「きょうの健康」をネットで開き、調べてみました。
厚生労働省の調査では、「ネット依存」が疑われる人は成人で約421万人、中高生で約93万人と推定されています。
そして、そのうちの約9割がゲーム障害なのだそうです。
ゲーム障害は前頭前野の働きが悪くなると起こり、これはアルコール依存やギャンブル障害の患者さんの反応と同じだそうです。
特に未成年者では、前頭前野の働きが十分に発達していないため、ゲーム障害が起こりやすく、将来にわたって影響が続く可能性があるようです。
例えば、学校や職場への欠席・欠勤、ひきこもり、昼夜逆転などの症状が起きやすく、その結果、退学・放校、失職などにつながりかねないようです。
これを知って私は空恐ろしい気分になりました。
青少年に多大な影響を及ぼすこのようなことを放置することは、日本の将来にも大きな影を落としかねません。
ゲーム自体に規制をかけて、ある一定の時間が経過したら、ゲームにストップがかかるなどのシステムも必要ではないかと感じました。