第288回 仕事のやりがい

皆様は、ご自分の仕事のやりがいなどについて、どのようにお感じになられているでしょうか。

私は倫理法人会という団体で、仕事や人生についての考え方を学んでいます。そこで学んでいることの一つが「人の喜び、我が喜び」ということです。つまり「人に喜んでもらうことを自分の喜びとする」ということです。ちょ古っ都製本工房においても、スタッフ一同、その気持ちをたえず持ち続けて仕事にあたるよう、心掛けています。

すると先日、3年も前に仕事をさせていただいた方からメールが届きました。私はこれを読んで、心から「『人の喜び、我が喜び』という考えを貫いて、この仕事をしてきてよかった」と感じました。メールを下さった方には、このブログに掲載することへの許諾をいただきましたので、原文のままを載せ、ご紹介致します。ご興味のある方に読んでいただけたら幸いです。私共は今後とも、皆様に喜んでいただけるよう仕事に励んで参る所存です。

突然のメール失礼いたします。

私は、2017年に貴社のサービスを利用させていただき、祖父の半生の回顧録を作成した者です。

この度は、再度お礼を申し上げたくメールを送らせていただきました。

私の祖父は、戦時中の記憶と戦後にシベリアで抑留された過酷な体験、そして生還後に故郷の村の復興に尽力した日々の記録を書き綴っていました。

そして2017年に、孫である私がほんの思い付きから、その手記を本にしてはどうかと提案しました。

祖父は最初、「本にするなど大層なことはしなくていい。お金もかかる。」と言っていましたが、私が貴社のサービスを見つけ、想像よりも安価に、自分の欲しい部数だけ作成できることを伝えると、本の作成に同意してくれました。

その後、私と母で祖父の手書きの手記をデータ化し、祖父も高齢でありながら中に載せる写真や装丁に関する相談に辛抱強くつきあってくれた結果、『青春の想出』という名の祖父の半生の回顧録が完成しました。

本を手渡すと、祖父は最初から最後までなにも言わずに目を通し、また最初から読み返すということを何度も繰り返しました。

もともと寡黙な人だったこともあり、表立って大喜びすることはしませんでしたが、その様子から喜んでいること、感動していることは、言葉以上に伝わってきました。

祖父は最初「友達はほとんど亡くなってしまったから30冊もあれば十分だ」と言っていましたが、実際は作成した50冊をあっという間に配り終えてしまいました。

それからは、私や親戚がいつ祖父を訪れても机の上にその本が置いてあり、毎日のように読み返しているのは明らかでした。

今年の1月に祖父の病室を訪れた際は、酷く体調が悪い様子でしたが、その枕元にもやはり回顧録が置いてありました。

先日、その祖父が他界しました。

97歳でしたので、大往生でした。

私自身は昨今のウイルスの影響により、遠方で行われた葬儀に赴くことは叶いませんでしたが、母が送ってくれた写真には、葬儀場の入口に飾られた祖父の写真の隣に、回顧録が置かれている様子が写っていました。

祖父のお棺にも回顧録を入れ、一緒に火葬したようです。

祖父にとって、貴社が作成してくださった回顧録は、間違いなく宝物でした。

「本を作ってあげたいけど、できるだろうか」と不安な気持ちだった素人の私が、貴社のウェブサイトに記載された値段や条件を見て「これなら私たちでもできるのではないか」と思い、実際に作成できたことは、私や母にとっても大きな喜びでした。

他にも多くの印刷所のウェブサイトを見ましたが、料金体系が一番わかりやすく、小数部の印刷にも対応してくださる貴社のサービスに出会わなければ、尻込みしてしまっていたかもしれません。

利用者の要望を慮り、きめ細やかなサービスを提供してくださったことに、改めて感謝申し上げます。

ありがとうございました。

お忙しいところ、長文をお読みいただきありがとうございました。

昨今のウイルスの影響も収まらず、先の見えない日々ですが、従業員の皆さま共々どうぞご自愛ください。