第228回 プログラミング教育

私は先日、コンピューターの専門学校で講師をされている方から、お話をお聞きしました。そのとき、私が最も知りたかったことは、「プログラミングを学ぶことは、どんな効用があるのか。そして、学力面にもプラスになるのか?」ということでした。プログラミング教育は今後、小学校の教科にもなり、注目を集めているものです。そして、今後いろいろなプログラミング教育ソフトが開発されたり、プログラミング教室が広がっていくことでしょう。

プログラミング教育というのは、習い事として価値があるものなのでしょうか。例えば、世の中には水泳、習字、ピアノなどいろいろな習い事がありますが、それを学んだからといって、全ての子どもが将来それぞれの習い事の先生となり、そこから収入を得られるようになるわけではありません。それを考えると、プログラミングを学んだからといって、それを学んだ全ての子どもたちがプログラマーやゲームの著者になれるわけではないとわかります。

では、プログラミング教育にはどんな利点があるのでしょうか。それについて、その講師の方は「プログラミング教育では、物事を論理的に考えていく力が身につくだろう」とおっしゃっていました。確かに、プロググラミングの学習では、ステップを1つでも飛ばすと、そのプログラムは動きません。その時点で生徒は「なぜ動かないのだろうか、どうすればこの問題を解決できるだろうか」と考え、その解決策を模索し、乗り越えていくことでしょう。そのような過程の中で、「考える力」や「ロジカルシンキング」が身につくようです。

優秀なプログラマーになるには、その学習を深めるだけでなく、それを他人に説明したり表現できるような豊かな国語力や、幅広い教養や、豊富な体験なども必須となるだろうと、話されていました。つまり、国語を使っての表現力に乏しい人や、浅い知識しかない人は、初めはうまくいっても、そのうち自然に淘汰されていってしまうだろうとのことです。

これからの世の中をたくましく生き抜いていくためには、専門的なスキルだけではなく、富士山の裾野のようなどっしりした教養や、豊かな体験を併せ持つことも大切なようです。