第213回 『妻のトリセツ』

黒川伊保子さんという、人工知能研究者、脳科学コメンテイターの方が書かれた上記の本を読みました。この本を読むと、女性の脳と男性の脳の違いがわかり、「男と女では物の見方がこれだけ違うのか」ということがよくわかります。

その根底にあるのは、原始時代から始まる男と女の役割の違いです。例えば、女性はよく、昔すでにケリがついたはずの過去の失敗を、まるで今日起きたことのように語り出します。「あなたは昔、つわりがひどくてふらふらだった私に、何て言ったか覚えている?」といった調子です。男性はこのような言動を全く理解できません。しかし、それは女性にとっては、なくてはならない能力なのだそうです。

人は一個体が残せる子どもの数が少ないので、子育てには大きなエネルギーを要します。そのために、女性には「新たな問題に対し、人生の記憶を総動員して瞬時に答を出す機能」が備わっているそうです。そのために、即座に昔の記憶を呼び戻せるのだそうです。一方男性は、日々の狩りが仕事ですから、今目の前の獲物を捕ることに集中し、過去の些細なことは忘れてしまうのです。

このようなこと1つを知るだけで、男性と女性のすれ違いは、脳の構造が違うのだから致し方ないものだとわかります。それを知りさえすれば、「なんで俺(私)の言うことがわからないのか?」というストレスから解放されるように思います。つまり、互いが「みんな違って、みんないい」という心境になれば、男性と女性のいさかいはかなり解消されるのではないでしょうか。

次に、この本から男性が女性の立場を理解する上で大切なことを学びました。それは、「女性には目に見えない(名もない)家事がとても多いのだが、多くの男性はその大変さを理解せず、ねぎらいや共感のことばをかけられていない」ということです。その「名もない家事」とは、「床にゴミが落ちているので、それを拾ってゴミ箱に捨てる」とか、「生ゴミをポリ袋に入れて始末する」とか、「洗濯物をたたんで各自の衣類をしまっている場所にしまう」などのことです。そのようなことに費やす時間は、積もり積もるとかなりのものになりますが、私を含めて男性は、それらを当たり前のように思い、評価していません。そして、それが女性のストレスの1つになっているようです。それを知ってから私も、少しでもその「名もない家事」の負担を減らせるよう、心掛けています。すると、少し家内もそれに対し、助かってくれているようです。

さて最後に、「妻が絶望する夫のセリフ」をご紹介しましょう。男性はゆめゆめ、このような言葉を口にしないようにしましょう。
1)「だったらやらなくていいよ!」
2)「つまりこういうことだろう?」
3)「おかず、これだけ?」
4)「今日何してたの?」
5)「いいな~君は。一日子どもと一緒にいられて。」