第208回「日本人らしさ」とは?

最近『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』雨宮紫苑〈新潮新書〉という本を読みました。著者は立教大学文学部を卒業したあと、ドイツに移住し、ドイツ人のパートナーと暮らしているフリーライターです。私自身は大学時代、ドイツで半年ほどアルバイトをしながら暮らしたことがあるので、とても興味深くこの本を読みました。

その中の一つに「日本人は罪悪感に敏感で『自分が悪い』と自省しやすく、そのため、罪悪感を感じる行動を避ける」ということが挙げられていました。

日本では、例えば仕事上、何らかの不手際で上司に注意されたとします。すると、自分の責任でなくても無意識に「すみません」と謝ってしまいます。また、人にものを頼むときでも「悪いけどお願いね」とか、「お手数ですけどよろしくお願いします」などの言葉が出てしまいます。

一方ドイツでは、自分の仕事でなければ、「それは私の仕事じゃないのでやりません」とか、「この仕事をして下さい」というように、人間関係がとてもドライだそうです。

日本では、有給休暇の取得がしにくいことの理由の一つに、「上司がそれを許可してくれるかわからない」という不安があります。しかし、それ以上の理由として、「自分が休みを取ることで、周りに迷惑をかけるかもしれない」というように、その根底には「罪悪感」が潜んでいるのではないかと著者は述べています。日本人の感性の根底には、「他人に悪く思われたくない」「他人を満足させようと努力する」という意識が他の民族より強いのかもしれません。

結論として言えることは、「日本人は他の民族より、相手への感謝とか労りを強く意識する感性をもつ民族である」と言えるのかもしれません。それはとても素晴らしいことですが、それが過ぎると、他人に気を遣いすぎるあまり、自分がしたいことや主張を貫くことを遠慮してしまうという恐れもあります。
私としては、一生に一度しかない人生なので、やりたいことを思う存分やって、納得のいく人生を送りたいと思います。