第119回 世界に誇れる明治の橋
東京には、隅田川などいろいろな川が流れており、そこに架かる橋も多くあります。それらは明治から昭和初期にかけて建設されました。そして、それには金井彦三郎氏の貢献が光っています。金井氏は大卒ではなく、給与も低かったそうですが、英字本などを頼りに独学で橋の設計に携わりました。1898年には、日本初のアーチ橋である浅草橋が完成しましたが、これも金井氏が独学で設計したものだそうです。また、金井氏は東京駅の基礎構造の設計にも携わりました。その仕事ぶりは素晴らしく、東京駅は関東大震災の時でも、ひび一つ入らなかったそうです。
金井氏に限らず、当時の技術者たちの橋にかける情熱と先見性の高さには、目を見張るものがあります。例えば、関東大震災の復興で架けられた永代橋や清洲橋は、90年後となる1980年の設計基準を上回る強度で建設されているそうです。更に、これらの橋は将来の自動車社会の到来を見越し、現在の橋の約2倍の重さにも耐えられるような構造になっているそうです。
当時の物資の運搬には、専ら大八車などが使われていたことを考えると、その先見性はあっぱれという他はありません。
このような事実を知ると、昔の技術者の心意気を感じることができ、私はとても感動しました。