第118回 新・四畳半暮らし

みなさんは四畳半暮らしと聞くと、どんなことを連想するでしょうか。私は、学生時代の若者の貧乏な四畳半暮らしを思い浮かべます。ところが今、「新・四畳半暮らし」は、都会に住む若者の新しいライフスタイルだと聞いてとても驚きました。

都会の四畳半程度の部屋とは、どこにあり、どんなものだと思うでしょうか?その立地は、例えば“早稲田駅から徒歩7分”といったように駅から近く、職場と住まいが近距離にあり、家賃は月5~6万程度なのです。そして、その四畳半程度の部屋の間取りは次のようになっているそうです。

(1)洗面台と流し台を兼ねたシンク
(2)その下にはめ込まれたドラム式洗濯機
(3)その隣にむき出しのまま設置されたトイレ
(4)風呂には浴槽がなくシャワーのみ
(5)あとはベッドが置けるだけのスペース

私は、このような部屋で若者が生活するということにとても驚きました。机も本棚もなく、趣味の道具を置けるスペースもないようなところで毎日を過ごす生活なんて、私には信じられないからです。

では一体、若者はどんな生活をしているのでしょうか。どうやら今の若者にとっては、スマホさえあれば何でも事足りるようです。テレビも見られるし、色々な情報も引き出せます。冷蔵庫がなくても、近くにコンビニさえあれば困りません。

では、今の若者は何を一番求めているのでしょうか。それは、「とにかく通勤時間を短くして早く寝たい」ということのようです。私はこれを知って複雑な気持ちになりました。1つは、電通の事件などで問題になった残業などにより、若者が追いつめられているのではないかということです。もう1つは、このような風潮が進むと、世の中全体が「消費をしないサイクル」になり、ますます不況になるだろうということです。例えば、車に乗りたければレンタカーで済ませ、服は最低限のものしか持たず、それを着まわすといった傾向が強まるでしょう。そうすると、ますます人々は苦しい状況に追いこまれないでしょうか。

私が若かった頃に比べ、世の中が大きく変わってきていることを知り、とても驚いています。