第93回 スイス人の生活

先日、多根幹雄氏の本を読みました。彼は、仕事上の都合でスイスに9年間住んで、スイス人の生活ぶりを知り、それを本に書きました。その本の名は、「スイス人が教えてくれた『がらくた』ではなく『ヴィンテージ』になれる生き方」です。私も学生時代など、少しの期間でしたがドイツに住んだり、スイスを旅行したりしたので、氏の訴えることがとても良く理解できました。

スイスでは、たいていの人は職住接近で、通勤時間は車で15分以内だそうです。そして、仕事も基本は残業なしです。皆、夕方6時には家に帰り、家族そろって食卓を囲むそうです。食事は至ってシンプルながら、家族で楽しく過ごします。当然スーパーなどで働く人の生活も同じです。だから、スイスのお店はどこも月~金は6時、土曜は5時くらいまでしか開いていません。もちろん日本のように24時間開いているコンビニなど、一軒もありません。

休日は自然を楽しむ人が多く、冬にはスキー休暇もあり、多くの家族はランチボックスを持ってスキーに出かけます。週末の楽しみは、近所の人や友人を自宅に招き、決して派手ではないものの、皆で食事を楽しみます。また、暮らしに必要な家具などは青空市場などで安く手に入れ、その売上の一部は慈善団体に寄付されたりします。また逆に、不要になった家具や衣服は、マンションや住宅街の一角にあるコンテナに入れると、それを欲しがる貧しい人などに配られます。

このようなシステムの他にも、物を大切にしたり、リサイクルするような制度がいろいろあります。物を使い捨てにしたり、資源を無駄に使いがちな日本とは大違いのようです。この本では、そのようなこと以外に驚くことが沢山書かれています。

例えば、マンションでも一戸建てでも、地下には核シェルターがあり、いざという時はそこに逃げ込めます。もちろん、そこには備蓄用の食品も用意されているようです。

また、スイスは国民皆兵制です。男性は20歳になると15週間の兵役訓練があり、42歳になるまで2年ごとに20日間の訓練が合計10回あります。そして、自宅には武器が置かれていて、いざという時に備えています。

このように、スイスでは「自分たちの理想とする生活は自分たちで守る。そのためには命がけで他国からの攻撃に対抗する」というシステムができあがっているようです。