第86回 ハイテクなブラックバス釣り

私の知人に、釣りが大好きなK君という人がいます。先日、K君の案内で海釣りに連れて行ってもらいました。
海に向かうまでの道中で、K君が琵琶湖でやっているブラックバス釣りの様子を聞かせてもらい、そのハイテクぶりに驚きました。

琵琶湖での本格的なブラックバス釣りは、釣り船を使って行います。K君の友人に釣船を持っている人がいて、K君は時々、その船に乗せてもらってブラックバス釣りをするそうです。まず、彼らはブラックバスの潜むであろうポイントまで船で近付きます。ブラックバスは賢い魚なので、エンジン音や碇を投下する音を聞くと、警戒して食いつかないそうです。そこで、船はエンジンを止めてそうっとポイントまで近付き、そこからルアーを投げます。もちろん、そこで碇を下ろすことはしません。

ここで大きな問題が生じます。琵琶湖は湖だとは言え、風や水の流れの影響もあり、知らず知らずのうちに船がポイントからずれていってしまいます。そこで、それを修正するために船の先に電池で動かすモーター付きの小さな舵がついています。釣り人は足先でその舵を上手に操り、絶えず最高のポイントに留まれるよう、調整するのです。

その話をきいて、まず私はブラックバス釣りの大変さを知りました。手を使ってルアーを投げ、魚を釣る操作をするだけでなく、それとともに足を使って船を操縦するなんて、何と大変なことでしょう。しかし、彼らにとってはそれが面白いとのことで、そのようなブラックバスとの知恵比べがブラックバス釣りの醍醐味のようです。

そして、さらに驚くことを聞きました。それは、最近では船のへさきに付いている電池式モーターとGPSがドッキングして、ポイントをセットすると、その装置が自動でそのポイントをホールドしてくれるのだそうです。ブラックバス釣りは何とハイテクな釣りかということを初めて知りました。ただし、そのフル装備をした船の値段は数百万円もするそうです。さらに、その船はどこかのマリーナに係留してもらうわけですから、月々の係留費もかかります。船で行うハイテクなブラックバス釣りは、面白いと同時にとてもお金がかかる趣味のようです。