第69回 映画「野火」を見て

先日私は、上記の映画をアイパッドでダウンロードして鑑賞しました。この映画は塚本晋也氏が監督、脚本、出演し、作られたものです。舞台は第二次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島です。日本軍の敗色が濃い中、結核にかかった田村一等兵(塚本晋也)は、部隊を追い出されて、フィリピンの原野を彷徨います。食料はなく、バタバタと仲間が死んでいく中、生き延びようと必死で戦います。

この映画を見ていると、何度も目を背けたくなるような場面がありますが、戦争の悲惨さや、生きるための極限的状況がよく現されています。私がこの映画を見ようと思ったきっかけには、ある理由があります。それは、今は亡き私の父親も、フィリピンに近い南の島、ラバウルというところに派兵され、主人公と同じ状況下で戦っていたということです。父はラバウルでマラリアという病気にかかり、九死に一生を得て帰還してきました。

生前、父は戦争中の悲惨な状況を決して私たちには話しませんでした。しかし、この映画を見て、「こんな状況の中で、よく帰ってきてくれたものだ」と感動しました。また、「そのような過酷な状況下でも帰還して下さったお陰で、今の自分がいるのだ」と深い感謝の念を抱きました。