第534回 AIの進歩と人間の心
皆さんはAIの進歩をどのように捉えておられますか。私は脳科学者/理学博士である茂木健一郎氏の講演ダイジェスト文を読み,AIと人間の違いについて,「なるほど!」と納得しました。
さて,皆さんの周りに次のような人はおられますか。
現在その方は日本語と英語が堪能です。ところが,翌週あったところ,仏語,中国語も流暢に話せるようになっていた。さらにその次の週には八か国語もマスターしていて驚いた…。
人間の世界では,いかにその人が優秀な人でもこんなことはあり得ません。しかし,AIの世界ではこうした「2倍,4倍で進歩する」というスケール感が現実に起きているようです。事実,将棋の世界でもそのようなことが起きています。かつて将棋のプロ棋士だった米長邦雄氏が,公式戦で初めてAIに敗れ,その後も複数の棋士が次々と倒されたという事実があります。それから年月が経ち,将棋に対するAIはますます進化しています。ではもう棋士はAIに勝てないのでしょうか。
元棋士の加藤一二三(ひふみ)氏は現役時代,「相手がどんなに強くても『自分は絶対に勝つ』という気持ちで対局に向かう」と述べています。そのような「自分は負けない」と信じて挑む心は人間にしか持ち得ないもので,そこがAIとの差であるようです。そしてそれは,「生きがい」つまり「生きていることに喜びや意味を感じる心」のようです。
AIにも,今私が書いているこの文章と同じような文が書けるかもしれません。しかし「有益な情報を届けて,皆さんに喜んでもらいたい」という強い気持ちがあるかないかが,AIと人間の大きな差になるのかもしれません。
