第449回 2040年の日本の姿

あと15年後の日本の姿はどのようになるのでしょうか。リクルートワークス研究所は,2040年までの労働需給シミュレーションを行いました。それによると,労働需要はほぼ横ばいが続く一方,労働供給は2027年頃から急激に減少し,2040年には1100万人不足するとのことです。これは現在の近畿地方全域の就業者数に匹敵します。つまり,2040年には日本から「現在近畿地方に住む労働者が全員消えてなくなってしまう」ということです。すると,どういうことが起きてくるでしょうか。

まず,ドライバーがいないために「荷物が届けられない」,または「荷物が送れない」地域が発生します。そうなると当然その地域に居住することが困難になります。また,介護現場では介護スタッフ不足が深刻化し,今のような訪問介護を受けられなくなり,それが原因で家族全員の生活が圧迫され,働いている家族は仕事を諦めざるを得なくなるような事態も発生することでしょう。また,医師や看護師をはじめとする医療スタッフも不足してくるため,救急車が立ち往生するようなことも常態化してくるでしょう。このような予測に対して,「国が何とかしてくれるだろう」などと考えて,他人事で済ますことができるでしょうか。このようなことを知ると今後は,「便利な地域への集中化」が進むように思われます。特に首都圏への集中化です。そしてその反動として不便な地域の過疎化が加速するかもしれません。

別の見方をすれば,これからは「働き手が神様」の社会となり,「働き手が多くいるところが住みやすい地域」となり,人気のある地域とそうでない地域の格差が広がっていくように思われます。

なお,以上の文章は『「働き手不足1100万人」の衝撃』〈プレジデント社〉のダイジェスト記事を参考にしました。