第395回 食の大切さ

私はよく国際ジャーナリスト,堤 未果(つつみ みか)氏の本を読みます。氏は『日本が売られる』『デジタル・ファシズム』など,現場取材に基づく幅広い調査報道による鋭い視点での本をたくさん出版しています。

氏は大学時代にアメリカ留学し,バーガーキングのドライブスルーなどのスタイルに憧れ,留学時から13年間,ファストフードや超加工品などの,アメリカ的食生活を続けました。

その後,消化器に深刻な障害を抱えてしまい,帰国することになりました。それは食べても食べても瘦せていき,腹痛に苦しめられるという消化器系の病気で,医師からは「一生治らない難病だ」と診断されました。

氏は気づかぬうちに,自分と自分の体の器官は別物であると考えていました。つまりそれは,「故障すれば薬か手術か最新テクノロジーで直し,栄養が足りなければサプリメントなどで外から補えばいい」というアメリカ人的発想です。その考えを聞いた中国医学のある医師は,呆れ返りながらも,薬を使わない徹底した腸内蘇生治療と,発酵食の摂取を提案しました。すると,それを実行して3カ月ほどで症状はピタリと収まり,健康を取り戻すことができました。その体験から氏は,「土壌も人間の腸も本来完璧に調和が取れており,乱せばその一部である私たちも必ず傷を負う」という考え方に確信を抱きました。

そのような背景に基づいて書かれた本が,2022年12月に発刊された『ルポ 食が壊れる』〈文春新書〉です。この本を読むと,「人工肉の危険性」「デジタル農業計画の裏」「日本の食の未来」などについて,とてもよく理解できます。

ちなみに私は狭いながら,庭に畑専用の土を入れた畝でミミズや微生物いっぱいの畑を作り,一年中野菜を切らさずに育てています。
写真はこちら・1
写真はこちら・2
そして,そこで育った葉物野菜を毎晩サラダにして食べています。そのおかげか体調はすこぶる快調です。この本を読んで,「その食生活は,今後もずっと続けていこう」と,強く思いました。