第328回 「なぜ?」の大切さ
私は最近,外科医である山本健人氏の『すばらしい人体』〈ダイヤモンド社〉を愛読しています。
読めば読むほど面白く,医学的な教養もぐんぐんと深まっています。
この本を読んでいると,何事も「なぜ?」と疑問を持つことの大切さを再認識させられます。
例えば,みなさんは「医師が手術のときなどに身につけるガウンは,なぜ決まって青緑に近い色なのか?」と不思議に思ったことはありませんか。
ふつう医療従事者の服装といえば「白」です。
それなのに,「ドクターX」などドラマの手術シーンで見かけるガウンの色は皆「青緑系統」です。
これには昔,中学校の美術の時間で学んだ「補色」が関係しているそうです。
手術のときには,血液や内臓の「赤系統の色」を見がちです。
そんなとき,もしシーツやガウンの色が「白色」だったらどうなるでしょう。
医師が視線を内臓から白のシーツに移したとします。
するとそこには「赤色」の補色である「青緑色」の残像がちらついてしまいます。
そこで,それによる視野の妨害と目の疲れを軽減するために,青緑に近い色のガウンやシーツが使われているそうです。
何事も「なぜ?」と探求してみるのも大切だと感じます。