第34回 ロボットの社会
今までのアメリカなどの歴史を見ると、テクノロジーの進歩によって職を失う人も出ましたが、また新しい仕事も増え、社会はうまく回ってきました。例えば、農業が機械化された時代には、何百万人もの人が職を失いました。しかし、失業した農業労働者は都市へ流入し、工場での職を得たので社会はうまく回りました。
しかし、今の時代はその時代とは様相が異なるようです。その背景はロボットの登場です。例えば、アメリカのある会社は、高品質ハンバーガー製造の完全自動化に成功しつつあります。その機械は、生のひき肉からバーガーをこしらえ、注文に応じて焼き上げ、焦げ目をつけながら肉汁を内に閉じ込めることまでするそうです。
そのような機械ができあがると人手は不要になり、職を失う人がどんどん増えます。スーパーマーケットでは、客がスマートフォンでバーコードを読み取り、支払いを済ませるシステムができあがるかもしれません。すると、レジ係は不要になります。車は自動運転になり、どこでも車を呼び出せ、目的地まで運んでくれるシステムができあがるかもしれません。するとタクシーの運転手は不要になります。さらに車を個人が所有することすら不要になります。
このようなことが進んでいったら、世界はどのようになるのでしょうか。それは決してバラ色ではないようです。ロボットの社会がどんどん進むと雇用は減少し、失業する人が増えます。すると、多くの消費者の所得と購買力が減ります。
つぶれる企業も増えていくことでしょう。すると、経済成長を支えるのに不可欠な需要が先細りしていきます。労働者が機械に置き換わっていったからといって、機械が買い物に出かけることはありません。つまり、機械が作るものを買う人が減ります。そして最終的には機械もいずれ不要になるでしょう。
このように考えていくと、これからの世の中はいったいどのようなものになるでしょうか。また、技術の進歩は人類をどのような世界に導いていくのでしょうか。