第311回 『の』の使い方で作文が上達!
日本講演新聞で、コラムニスト・スピーチライターひきたよしあき氏の講演ダイジェスト文を読み、「なるほど!」と思いました。
それは「『の』をうまく使うと作文が上手になる」というものです。
氏は仕事で何千という子どもの作文を読んでいます。うまい作文とは、文章がうまいとか、構成がいいとかよりも、「着眼点がいい」ことのようです。
つまり、「どのくらい観察力があるか」というのがポイントになるそうです。
例えば、普通の作文では、「水族館に行きました。ペンギンがかわいかった」という感じでしょう。そこで、さらに一歩踏み込んで、「ペンギンの歩き方が、赤ちゃんのヨチヨチ歩きみたいでかわいかった」としたらどうでしょう。その文を読んだ人は「この子はペンギンを細かいところまでよく観察しているな」と感じることでしょう。
ここで大切なことは「ペンギンがかわいかった」ではなく、「ペンギン『の』歩き方がかわいかった」と、『の』を使っていることです。
つまり『の』を使うと、対象物に一歩踏み込んで観察する習慣が身につけられるのです。
これは大人の会話にも使えることでしょう。例えば、ラーメン屋についての会話で、A君は、「○○店のラーメンやばい。激ウマ!」と表現したとします。一方B君は、「△△店のラーメン『の』スープは和風だしを使っているからか、とても上品な味がしておいしいよ!」と言ったとします。
このとき、皆さんはどちらのラーメン屋さんに興味を持ち、一度行ってみたいと思いますか。
このようなことを考えると、「対象物への観察力」の大切さと、『の』を使った表現力の重要性を感じ取ることができます。