第290回 『東大思考』
先日、私はタイトルに惹かれ、『東大思考』西岡壱誠氏〈東洋経済新報社〉という本を読みました。
氏は1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、2年連続不合格。崖っぷちの状況で開発した「思考法」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位となり、東大合格を果たす、という経歴の持ち主です。
この本を読んで、私もとても共感を覚えました。私自身は遠い昔、「チャート式数学」の解法を丸暗記するような勉強法をして、見事、大学入試に失敗しました。その後、東京のある予備校で有名な数学講師の授業を受け、「数学とは、このようにして勉強するものなのか」と大変驚きました。その授業を受け続けてしばらくすると、数学の成績が急上昇し、一浪後に何とか目標校に入学できました。この本では、正にそのような勉強法の本質が述べられています。
以前私は、「英単語の語源図鑑」という本をここでご紹介しました。その本は、接頭語とそのイメージを表すイラストを通じて、英単語をどんどん覚えていこうという主旨のものです。『東大思考』の本の中にも同じようなことが書かれています。
例えば、「USA」という言葉の中で使われている“unite”という英単語。“unite”は「統一,結合」を表すので、USAは「たくさんの州が結合してできた国」と意味づけて、その言葉を理解することができます。また、“uni”は「1つの」ということを表す接頭語なので、「ユニフォーム(1つの服に統一したもの)」などの単語も関連づけて覚えることができます。このように、「関連づけ」の大切さが述べられています。
またこの本の中では、「本質を突き詰める」ことの重要さも述べられています。
私は、生まれた土地柄、中学生の頃からスキーをやっていましたが、ちっともうまくなりませんでした。しかし、あるきっかけで「スキーはなぜ曲がることができるのだろう」ということを考えるに至り、その本質を知りました。そして、その本質を理解しながら練習を重ねた結果、スキーがみるみる上達したという経験があります。そんなことからも、著者の主張に共感できました。
この本には、「地頭力」を高めるいろいろなヒントが隠されていると感じました。