第267回 『英文法の鬼100則』

私は最近、標題の本を読みました。この本は、時吉秀弥氏によって書かれたもので、発売後3カ月で34刷を記録するなど、爆発的に売れています。私は、25~26年前に『スーパー英語』というテキストを出版したこともあり、興味をもって、この本を手に取りました。

読んでみて、その内容に納得し、感動しました。私が『スーパー英語』の中で書いたことの裏打ちとなる考え方も、しっかりと書かれていました。例えば、「英語では、まず軽い情報を先に言い、次に重い情報を述べる言語である」などの原理です。私は、『スーパー英語』の中の「日本語と英語の違い」のページで同じようなことを述べました。

日本語において、「この仕事を1日で終わらせるのは難しい。」という文章は自然であり、普通に使われます。しかし、英語では“To finish this work in a day is difficult.”という文はあまり使われません。それより、“It is difficult to finish this work in a day.”という文の方が自然です。それはなぜかというと、日本語と英語では、発想の違いがあるからです。

英語では、前述の「軽い情報を言ってから、次に重い情報を述べる」というような発想で文が作られるからです。つまり、それを日本語で表現するとしたら、「それって難しいよ、この仕事を1日で終わらせるってことだけど。」という感じです。ネイティブな日本人が英語を習得する上でのポイントは、まず、この英語の発想法をマスターすることです。つまり、自分の頭の中に「英語における発想法」という新しいチャンネルを作ることが大切だということです。そして、英語を学んだり、話したりするときは、頭をそのチャンネルに切り替えることがポイントになるのです。それと関連して、アメリカやイギリスの映画などを見て、その身振り手振りを真似、英米人になったつもりで話す、というようなことも大切だと思います。

この本は、英語の根本となることを学びたい人や、塾や学校で英語を教えている先生方にもお勧めだと思いました。