第550回 帝京大学ラグビー部の強さの秘密
私はラグビーについての情報には疎い方ですが,調べてみると帝京大学ラグビー部は日本の大学ラグビー界では「トップ中のトップの強いチーム」のようです。その証拠に全国大学ラグビー選手権では,9連覇を含み10回以上優勝しています。
その陰の牽引役を務めている方が帝京大学法学部政治学科教授の森 吉弘氏です。氏の指導はまず大学に入るまでの学校教育の弊害を除去するところからスタートします。例えばそれまでの学校教育では「100-1」の正解は「99」しか存在しません。ところが,世の中に出ると,いろいろな考え方の人もいるし,様々な出来事にも出くわすので「100-1=99」というパターン認識だけでは対応できなくなります。
「百から一をとったら白になる」という答えを出す人もいることでしょうし,「100人の社員が作った会社の長年の信用も,たった1人の社員が不正をして新聞に載ったために「0」になることもある。だから100-1=0だ」と答える経営者の方もおられることでしょう。
以上のような背景から帝京大学ラグビー部では,「命令形を使わないで,選手自らに考えさせる指導」を徹底しています。例えばこのチームの監督やコーチは試合中に「お前,何で相手チームの7番の選手の動きが見えなかったんだ。もっと注意しろ!」などの言動は絶対しません。見えなかったのは選手の責任ではなく,監督やコーチの責任だからです。なので監督やコーチは,選手が相手チームの選手の動きが見えるような練習を普段からもっとさせないといけないと考えるのです。
帝京大学ラグビー部の強さの秘密は,この「命令形を使わない組織」にあるようです。命令形を使うと,言われたことだけをする人間になってしまい,「考えなくなってしまう」という弊害が生まれるようです。このようにして,帝京大学ラグビー部は「考えるラグビー」を目指しており,それが「強さの底力」になっているようです。
なお,この文章は日本講演新聞に掲載された,森 吉弘氏の講演ダイジェスト文を参考にしています。
