第522回 聴く力の威力
皆さんは相手と会話をする時,話す方が好きですか,聴く方が好きですか。私自身は昔に比べエネルギーが落ちてきたからか,喋ることより聴く方が好きです。しかし,一般的に人は聴くことより話す方が好きなようです。
先日,得意先の方に一時間ほど車に乗せて頂きました。その方はお喋りすることが大好きなようで,ほとんどの時間お話しされていました。さらに話が途切れた時は私が「○○については,どうお考えですか?」などと質問を投げかけるので,話の勢いがさらに増すという調子です。
さて,このような関係が続くと,どのようなことが起きるのでしょうか。まず,相手の方の心境としては,「言いたかったことを存分に話せてスッキリした。聞いてくれた鳥居さんはいい人だ。また機会があったらご一緒してもいい。」と思う確率が高まることでしょう。一方私の方は,「○○さんを取り巻く状況や考え方がよく理解できた。次回お会いしたら,それを土台にしてお話ししよう。」という状況になります。そうなると次回お会いした場合,「○○さん,確か○○さんは△△でしたよね。それについてはその後いかがですか?」などと話をつないでいくことができます。すると相手は私に対しての親近感を増して下さる確率がさらに高まることでしょう。
以上のような理由で私は自分の周りのことを真っ先に話すことを避け,できるだけ相手の話を聴くことを意識しています。これは良好な人間関係をつくる上で効果的だと感じます。
ただし,最近私のこの力が少し落ちてきているようです。それは「記憶力」です。最近では,前回お会いした時の会話の内容を忘れてしまっていることが増えているのです。それでは折角の力も宝の持ち腐れですね。これからは専用のノートなどを用意して,お会いした時に,会話内容をすぐに文字で記録しておくなどの工夫が大切なようです。
