第318回 スマホは一時間まで

岩手県奥州市の眼科医、鈴木武敏氏は「スマホの使用は1日1時間、長くても3時間まで」と主張しています。
スマホは他の端末より、目に近い位置で使用します。そして、画面が小さく縦長で、その幅は左右の瞳の幅より狭くなっています。

そのため、眼球が寄り目になり、長時間見続けると、レンズの厚さを調整する筋肉が疲れがちになります。すると、脳は片方の目だけ位置を外側にずらし、わざと使わないようにします。このため、スマホを長時間使う人は、片目で見る癖がついてしまいます。

特に子どもは、その影響を受けやすく、この片目で見る癖(片眼視)になると、奥行きや距離が掴めなくなります。
すると、次のようなことが起こります。
・野球で空振りが増えたり、ボールを取れなかったりする。
・自転車でぶつかったりすることが増える。

両目で立体を見る能力は3歳までに発達します。幼少の頃、子どもにスマホを長時間使用させると、片目で見る癖がついてしまいます。
最近、体育の時間で平均台を渡れない子が増えているそうですが、それは立体視の発達が不完全な子どもが増えているからではないかと氏は危惧しています。

では、その対策はどうしたらいいのでしょうか。
米国の眼科学会は、スマホの画面や本を見る時は、20分見たら画面から目をはなし、20秒間20フィート(6m)先を見る「20-20-20」を提唱しているとのことです。
また目の疲れをとるのは、自動的にキョロキョロ瞳を動かすことになる「外遊び」だそうです。
大人は子どもが外でのびのびと遊べる時間と場をつくるよう、配慮してあげることも大切なようです。